監修 眼科専門医 川端 秀仁
(かわばた眼科)
- Q赤ちゃんの眼はどの位見えているのでしょうか?
- A
生まれたばかりの赤ちゃんの目は、明暗がわかる程度です。
以下、順に「見え方」の成長をおってみると
生後1ヶ月位で、ある程度モノのカタチが分かるようになり、2ヶ月位で色がわかるようになります。さらに、4ヶ月位で動くモノを追って眼を動かせるようになり、大人の様に「1.0」の視力を持つようになるには、生後4年ほどの歳月が必要になります。
子供の視力が上記の様に、次第に良くなってくるという現象は、モノを見るという毎日の自然の訓練によるものなのです。
つまり、毎日眼を開けて、いろいろなモノをみているうちに、眼からの刺激を脳が正しく理解していくようになるということなのです。 - Q眼球の大きさは、どれ位なのでしょうか?
- A
赤ちゃんの眼球は直径17ミリ位で、3歳位迄にどんどん大きくなり22ミリ位になります。その後はゆっくりと成長し、大人で24ミリ位になります。
24ミリというのは、10円玉(22ミリ)と500円玉(26.5ミリ)の中間位の大きさです。
「卓球のボールと同じくらいの大きさかな?」というイメージもありますが、卓球のボールは40ミリもありますので、それよりはかなり小さめといえますね。ちなみに、眼球の直径が24ミリより大きくなると、眼軸長が長いため近視になる傾向があります。ということから、絶対とはいえませんが、目の大きな人は近視傾向にあるといえるのです。
- Q近所の2~3歳の幼児が、目がすごく大きく見えるメガネを掛けさせられていて、かわいそうな気がします。メガネは小学生になってからでも良いのでは?
- A
人間の目は、生後すぐにハッキリ見えているわけではなく、赤ちゃんの時から網膜にピントの合った光が当たる生活を続けることで、4~5歳位でやっと1.0以上の視力を獲得できるのです。
ちなみに、強い遠視がある子にメガネを掛けさせないまま、小学校入学位まで放っておくと、いつも網膜上ではピンぼけ状態なので視力が育たず、メガネでもコンタクトレンズでも良い視力の出ない弱視の目になってしまうのです。
このような弱視になってしまうことを避けるには、遠視矯正用の凸レンズ(・・・凸レンズのメガネを掛けている人の目は、実際より大きく見えます)のメガネを常用しなければなりません。
つまり、遠視矯正用のメガネを掛けていることは、そのお子様にとって決してかわいそうなことではなく、むしろ将来の快適な視生活獲得のために絶対必要なことなのです。参考)ちなみに、強い遠視がある人が、物をハッキリ見ようとすると、目は自然と内側に寄ります(=これを遠視性内斜視といいます)。つまり、いつも寄り目 がちの幼児が身近にいる場合は、できるだけ早めに眼科を受診し、遠視の有無を検査してもらうことをお勧めします。
- Q涙のしくみや働きを簡単に教えて下さい。
- A
涙は10ミクロン(1ミリ=1,000マイクロメートル)程の薄い膜で、「油層」「水層」「ムチン層」の3層からなっています。
そのほとんどが「水層」ですが、「油層」が外側で涙の蒸発を防ぎ、「ムチン層」が内側で涙が流れ落ちないように、眼の表面に粘着させているのです。
涙の主な働きは、角膜・結膜の乾燥防止と栄養補給、殺菌作用、ゴミやホコリの洗い流しなどです。が、さらに、角膜表面をなめらかに保つことで、角膜のレンズとしての性能を高め、モノがはっきりと見えるようにしているのです。 - Q人間の視野は、どのくらいの広さなのですか?
- A
スポーツ観戦や車の運転時などに「自分の眼は、一体どのくらいの範囲がみえているのだろう?」と疑問を感じた事はありませんか?
また、「眼を使い過ぎた」と感じた時に、長い時間近くを見過ぎただけでなく、上下の視線移動が多すぎたのではないかと思われた経験もあるのではないでしょうか。では、人間の眼は自然な状態で、どのくらいの範囲が見えるものなのでしょうか?
人が目を動かさない状態で、片眼で物が見える範囲は耳側(外側)100度・鼻側(内側)60度(鼻が視線を遮ってしまうので、かなり狭めとなります)、さらに上下方向では上方60度・下方70度が限界といわれています。両眼なら、左右200度の範囲を越えるわけです。結構広い範囲が見えているでしょう。また、視野の中でも対象物の色によって捉えることの出来る範囲が違うこともはご存知でしょうか?
色を感じる範囲を色視野といい、色によってその範囲は異なります。
前記の具体的な数字は最も色視野の広い「白」の場合で、青・赤・緑の順に左右上下の4方向全てが、約10度ずつ狭まるのです。つまり、サッカーやバスケットボール等のスポーツシーンでは、白いユニフォームの方が味方の位置がいち早く感じとれるので、素早くパスが出せるということになり、好都合なわけです。
逆に、軍隊の戦闘服に白が採用されないのは、最も敵に発見されやすい色だからということなのです。日常生活の何気ない場面にも、いろいろな知識がいかされているものなのですね。
- Q朝起きて鏡を見たら白目が出血で真っ赤!悪性の病気でしょうか?
- A
いきなりの「出血」で、ビックリされてしまったようですね。
では、以下に考えられる理由と対処についてご説明します。
白目の部分は結膜という膜でおおわれており、その結膜の下の小さな血管が破れて出血したものを結膜下出血と言います。
原因は様々で、くしゃみやせき・過飲酒・ストレス・水中メガネの締め過ぎなどが考えられますが、特に思い当たる原因がなくても出血することがあります。
今回のご質問はまさにこの状況だったのではないでしょうか。
ふだん、白いところが血で真っ赤になるので、ビックリしてしまい「とんでも無い病気かしら?」と心配されるのも無理はありません。
通常 結膜下出血は、少し目がゴロゴロしても、痛みやかゆみ・目やになどの症状はありません。
また、眼球内部に血液が入り込むことはないので、視力が落ちたり、視野が狭くなるということはありません。
出血は1~2週間くらいで自然に吸収されて、元のきれいな白目に戻ります。少し長引く場合もありますが、いずれは吸収されますので、特に治療の必要はありません。
吸収を早めるには、蒸しタオルで目の周りを温めると良いでしょう。
但し、ボールがぶつかったり転倒したりなど、外傷を受けた後に結膜下出血が起きた場合や、痛みやかゆみ・目やになどの症状を伴う場合は治療が必要ですから、必ず眼科を受診して下さい。
また、繰り返し結膜下出血が起こる方は、動脈硬化・高血圧・糖尿病・腎炎といった疾患の疑いがありますから、内科で相談されると良いでしょう。 - Q泣くと、まぶたが腫れてしまうのはなぜですか?
- A
まぶたが腫れて恥ずかしい思いをした経験は、結構多くの方がお持ちではないでしょうか。どんな理由にしろ、さけたいことの一つですね。何か良い対策をと考える前に、その理由からご説明しましょう。
まぶたは、身体の中で最も皮膚が薄く血行に富んでいるため、打撲によって切れたり皮下出血をおこしたりして腫れやすいところなのです。
つまり、非常に繊細な皮膚なので、ちょっとした刺激(ちょっと擦った)だけでも、強く腫れてしまうことがあるのです。
涙を流して泣く時には、どうしても手で目の周り=まぶたを擦ってしまい、これが刺激となって、後で腫れてしまうことになってしまうのです。では、どうしたら「まぶたが腫れずにすむ」のでしょうか?
先日、TVのトーク番組で、某女優が「泣くときは、涙は拭わずポタポタ落下させておき、絶対目の周りをさわらないようにしています。さわらなければ、後で目の周りが腫れることはないので、撮影などの仕事に影響しませんから」と話していました。
これは、前述の理由と考え合わせても納得のいくもので、参考になります。と同時に、プロは涙するほどの感動や悲しみの中でも、仕事への影響を考え、自分をコントロールしていることにも流石と思わずにはいられません。 - Q人は、1分間にどの位まばたきをするのですか?
- A
「周期的まばたき」といって自然に起こるまばたきは、生後数ヶ月までの間は認められません。その後、成長と共に回数が増し、その数は、幼児で3~13回、小児で8~18回、成人では13~23回と、年齢と共に多くなります。
ちなみに、成人は平均20回くらいで、男性の方が多めといわれています。参考までに、車の運転中は約10回、パソコン作業中は約7回、ゲーム等に熱中すると5回以下に減少するというデータがあります。
まばたきの回数が減少すると、それだけ目の表面が乾きやすくなり、目の疲れや痛みといったドライアイの症状が出やすくなります。
したがって、仕事で長い時間パソコン作業をする方は、あまり仕事に集中しすぎないようにして、まばたきの回数を意識的に増やすことも考えながら行うと、目のためには良いと言えます。 - Q祖父の黒目の周辺が白っぽく濁って、目が小さく見えます。病気でしょうか?
- A
これは、老人になると皆がなるという訳ではありませんが、「老人環」と呼ばれる老化現象のひとつです。
老化によって角膜内に脂肪が沈着し、黒目の周辺部に白い濁りの輪ができる生理的現象ですから、病気ではありません。初期は黒目の上部と下部に起き、次第に白い濁りがつながって輪状になります。
黒目の中心部には起こらないので、視力に影響することもなく、治療の必要もありません。
若いときよりも黒目が少し小さくなったように見えますが、黒目が年々小さくなって消滅するというようなことはありませんので、心配は無用、ご安心下さい。 - Q眼が飛び出ているように思えます。病気ではありませんか?
- A
眼が飛び出て見える様な気がするという方には、大きくてパッチリとした目だったり、強度近視の人などが多いようです。このような場合は特に問題はありません。ちなみに、実際に眼球が突出してくる病気には、バセドー病や眼窩腫瘍などがあります。突出が強いと、夜間の睡眠時にも目を閉じることができず、角膜に乾燥や炎症をきたすようになります。もし心配なのであれば、眼科で検査してもらうと良いでしょう。
- Q眼にも「利き目」があるのでしょうか?
- A
手にも右利き・左利きがあるように眼にも利き目があります。
ふだん私達は両目で物を見ていますが、その時主導権を持っている眼が利き目です。
もう少し詳しく言いますと、両目の視力がほぼ同じ人が、ある対象物を着目・注視する場合、一方の目が漠然と背景をとらえて観察する間に、他方の目が対象物を着目・注視すると言われます。この後者の役割を持つ目が利き目です。
利き目は、ほとんどの人が左右どちらかですが、ある時は右、ある時は左と交代する人もいます。カメラのファインダーを覗くときなどは、自然に利き目を使っています。
利き目を調べるには、両目を開けたままで顔の正面に両手を伸ばし、手のひらで小さく覗ける穴を作って遠方の目標物を穴から覗きます。そして、手を動かさないように注意しながら片目ずつ閉じた時に、穴から目標物を注視できている方の目が利き目です。 - Q視力の定義とはどのようなものですか?
- A
視力とは、物体の存在や形状を認識する眼の能力のことです。
1909年(明治42年)の第11回国際眼科学会では、視力の解釈について『根本理念としては2点または2線の分離の識別をもって視力を表し、実際の視力測定においては、文字や絵の判読によっても構わない』という見解が出されました。
外界の2点と眼との間にできる角度を視角といい、度(°)、分(′)、秒(″)で表します。ちなみに、1度=60分、1分=60秒の関係です。そして、かろうじて分離していることが識別できる外界の2点と眼との間にできる角度を最小視角といい、視力は最小視角の逆数によって表されます。(視力=1/最小視角)例えば、視角1分の視標をかろうじて見分けられる視力は1.0、視角2分は0.5、視角5分は0.2、視角10分は0.1ということになります。1888年(明治21年)、フランスのランドルト(Landolt)は、スネレン(Snellen)が提唱した『5分1分角の原理~視標全体を視角5分とし、各部の太さや間隔を1分にしたならば正常者はこれを見分けられる』にしたがってランドルト環を作りました。そして、このランドルト環は、第11回国際眼科学会で世界共通の単位視標に定められました。
標準のランドルト環は、外径7.5mm、環の太さと切れ目の幅が1.5mmで、5mの距離においてこの切れ目はちょうど視角1分となります。つまり、5mの検査距離でこの環の切れ目の方向をかろうじて見分けられれば、視力1.0ということになります。
また、5mの距離で視力xに相当するランドルト環の外径は、7.5mm/視力xと計算されます。0.1なら7.5/0.1=75mm、0.2なら37.5mm、0.5なら15mmとなります。■標準のランドルト環および視力1.0と視角の関係

- Q運転免許証の取得・更新に必要な視力を教えて下さい。
- A
運転免許証の取得・更新には、免許証の種類により以下の視力基準があります。
これから運転免許証を取得しようと思っている方、免許証の更新期日が近い方は、眼科や眼鏡店で視力チェックをしてもらうと良いでしょう。自動車運転免許証の視力基準
免許の種類 必要視力基準 ■第一種四輪(1) - 大型特殊
- 中型(8t限定)
- 普通
両眼視力 0.7以上 一眼視力 0.3以上
(片眼視力0.3以下の場合は、見える方の眼の視力が0.7以上で左右視野が150度以上であれば合格)その他 条件 色彩識別能力検査~*1 ■第一種四輪(2) - 大型
- 中型(限定なし)
- けん引
両眼視力 0.8以上 一眼視力 0.5以上 その他 条件 色彩識別能力検査~*1、深視力~*2 ■第二種四輪 - 大型
- 大型特殊
- 普通
- けん引
両眼視力 0.8以上 一眼視力 0.5以上 その他 条件 色彩識別能力検査~*1、深視力~*2 ■二輪 第一種四輪(1)に同じ ■小型特殊・原付 両眼視力 0.5以上 - *1. 色彩識別能力検査:青、赤、黄の識別が出来る(軽い色弱は可)。
- *2. 深視力検査:奥行知覚検査器(深視力計)により、2.5mの距離で3回検査を行い、平均誤差が2cm以内で合格。
- Q近視の人は、老眼にならないのですか?
- A
「私は近視だから老眼にはならない」と言う人がいますが、これは誤った認識です。老眼は、正式には老視と言います。老視は、年齢が進むに従い調節力(眼内にある水晶体というレンズを膨らませて近方にピントを合わせる力)が減少し近方作業が困難となるもので、40歳を過ぎた頃から誰でも必ずなります。
正視の人は、一般に、44〜45歳位から症状を自覚し始めます。ごく初期のうちは、手元の字がボヤケる迄はいかず、長時間近くを見ていると何となく眼が疲れる、頭が痛くなるといった、いわゆる眼精疲労を起こします。そしてこの時期を過ぎると、いよいよ新聞を遠ざけないと読めないといった、近見障害を訴えるようになります。
ところで、近視の人は、老視になっていても「老眼鏡を使わなくても近くは見える」場合があり、そのために「近視だから老眼にはならない」と勘違いしてしまうことがあります。近視の人は、老視になると、近視をきちんと矯正したメガネをかけたまま(・・・近視が矯正されているので遠くがはっきり見える状態)では、近くが見にくくなります。ところがメガネをはずせば、遠くはボヤケますが、近くは良く見えます。この、メガネをはずして近くを見るという行為は、そのメガネの度数と同じ度数の”老眼鏡”をかけて見ているのと同じ効果があります。また、近視をきちんと矯正せずに度数の弱いメガネをかけている人は、遠くは多少ボヤケますが、近くはその弱くなっている度数と同度数の”老眼鏡”をかけて見ているのと同じ効果があります。このように、近視の人は、もともと遠くはボヤケていても近くを見ることは得意なので、メガネをはずしたり、少し度数の弱いメガネをかけるといった奥の手を使い、近くを見ることができるのです。
以上のように、近視の人の中には、老視にはなっていても、“老眼鏡”が不要であったり”老眼鏡”を必要と感じる年齢が遅くなる人がいるのです。そのために勘違いされやすいのですが、「近視でも老視になる」というのが正しい認識になります。
- Q医師が、死亡確認の時目にペンライトを当てますが、目のどこを見ているのでしょうか?
- A
医師が目にペンライトの光を当てて、「ご臨終です」というシーンは、ドラマでも良く見かけますね。
この時、医師は光の眩しさによって瞳孔が小さくなる「対光反応」を見ているのです。
「対光反応」は、生きている人にしか起こらないので、生死の確認に使われます。人間の目には、常に適量の光が眼内に入ってくるよう、自動的に瞳孔径を調節するという、カメラの絞りの働きがあります。
従って、眩しい場所では2ミリ位に縮まり、暗い場所や睡眠中では7~8ミリに拡がります。
軸ちなみに瞳孔には、好きなものや興味のあるものは見ると拡がるという「精神反応」もあります。恋人同士の目が、キラキラと輝いて見えるのは、拡がった瞳孔によるものなのかも知れません。 - Q強度近視の人は、網膜剥離になりやすいというのは本当ですか?
- A
強度近視の人は眼球が多少大きい場合が多く、そのために眼底に広く張りめぐらされている網膜(~カメラのフィルムの働きをしています)が薄くなりがちです。例えて言うならば、大きくふくらませた、風船の方がゴムが薄くなってしまうという感じです。
薄い方が膜に裂け目が生じやすくなるため、網膜剥離を起こしやすいと言えます。つまり、裂け目の部分から網膜の裏側に眼球内の水分が流れ込むと剥離を起こしてしまうのです。剥離した網膜は、時間が経つとフィルムの機能を失ってしまうので、できるだけ早く治療をする必要があります。
したがって、強度近視の人は、目の周囲に衝撃を受けた時はすぐに眼科で目の中を検査してもらうべきでしょう。また、ボクシング、水泳の高飛込といった頭部に衝撃を受けるスポーツは、できれば避けた方が良いでしょう。
- Q白内障は目薬を続けても治らないときいたのですが、本当ですか?
- A
白内障の大半を占める「加齢白内障」は、歳とともに目の中のレンズである水晶体が白濁し視力が低下するという、誰にでも起きる良性の病気です。
白内障は、白濁した水晶体を手術で取り出し、眼内レンズを挿入することで、視力を取り戻すことができます。
この手術は局所麻酔で10~30分ほどで行える安全性の高い手術で、国内で年間70万件以上行われています。いつ手術するかは「生活上不便を感じた時」と考えれば良いでしょう。但し、他の病気がある場合は、急いで手術しない方が良いこともありますので、眼科医に相談してみて下さい。
さて今回のご質問にある水晶体の点眼薬についてですが、これは白内障の進行を遅らせるためのものであって水晶体の濁りを取り除く作用はありません。従って、残念ながらお聞きになった通り、いくら点眼しても白内障が治るということはありません。 - Q「はやり目」って、どんなものなのでしょうか?
- A
ウイルスの感染で発症するウイルス性結膜炎のことで、感染力が強いことから「はやり目」と呼ばれています。もしかかってしまった場合は、周囲の人にうつさないように十分注意する必要があります。
「はやり目」には、流行性角結膜炎・咽頭結膜炎・急性出血性結膜炎の3種類があります。
- 流行性角結膜炎は、充血・大量の目やに・まぶたの腫れ・流涙などの症状が出ます。
- 咽頭結膜炎は、結膜炎だけでなく、のどに炎症が起きて高熱が出ます。(また、この咽頭結膜炎は、小児・学童がプールで感染することが多いので『プール熱』とも呼ばれています。)
- 急性出血性結膜炎は、白目に出血を起こし目がゴロゴロするなどの症状がでます。
ウイルス性結膜炎には現状特効薬が無いので、ウイルスに対する免疫ができて自然に治るのを待つしかありません。それゆえ直るのに2~3週間かかってしまうのです。
したがって、ウイルスに対する抵抗力をつけるため、十分休養をとって体力を落とさないことが大切です。特に咽頭結膜炎の場合は、のどの痛みのために食欲不振になりがちなので、出来るだけ刺激が少なく、軟らかい食物を採ると良いでしょう。
最後に感染予防策としてへ、次のようなことが重要になります。- 手を流水や石鹸で良く洗う。
- 患者のタオル・洗面器は家族で共用しない。
- 患者は最後に風呂に入るようにし、残り湯を洗濯などに使わない。
- 患者のタオル・食器等は煮沸消毒する。
- 医師の許可が出るまで、学校は休み、プールには入らない。
- 休養をとり、体力を落とさない。
- Qヒステリーで視力が落ちるということがあるのですか?
- A
目を検査しても特に異常が見受けられないのに、「視力低下」「視野異常」「まぶたが下がる」といった症状を訴えられることがあります。
これらの症状はヒステリーが原因で起こることがあり、女性や子供に多く見られます。つまり心配事・プレッシャー・恐怖といった精神的な物が原因で、本当は病気ではないのに、そのような症状が現れてしまうのです。
このような場合、治療には眼科医と精神科医の連携が必要となります。 - Q未熟児網膜症とは・・・?
- A
未熟児網膜症とは未熟児の約30%に発生する眼障害であり、軽度のものは自然治癒しますが、重篤なものは広範な網膜組織の荒廃および眼球内の増殖性変化により失明に至る疾患です。
一般に、出生時体重2500g未満のものを未熟児といいますが、体重が少なくても、きちんと母体内で10ヶ月生活していればあまり問題はありません。問題となるのは、妊娠7~8ヶ月目で出産してしまう早産による未熟児です。
人の体は、母体内に10ヶ月いることによって完成されるようにできています。妊娠7~8ヶ月目では、眼球の構造はほぼ完成されていますが、網膜の血管はまだのんびりと発育している最中です。従って、この時期に生まれてしまうと、発育途上の網膜血管が大慌てで対処しようとします。つまり、正常構築の血管を作っていたのでは間に合わず、構造的にもろい急造の血管である新生血管を発生させてしまいます。新生血管は、出血を起こしやすいもので、広範に新生血管が出現した場合には、広範に網膜組織が破壊されていくことが多くなります。
未熟児網膜症を発症するあるいは進行を助長する因子として、未熟児貧血および過剰酸素投与が知られています。未熟児には貧血が合併しやすく、貧血があれば網膜の栄養障害を助長し新生血管の発生を促します。また、生存や脳障害の予防のためには酸素投与が必要ですが、過度の酸素投与は血管の収縮あるいは閉塞を起こし、栄養障害に拍車をかけその結果新生血管の発生を促します。生存を取るか眼を取るかは非常に難しい問題ですが、現在では、生存および脳障害の予防に必要な最小限度の酸素投与を原則としています。
未熟児網膜症は、確実に予防する手段・治療法は現在のところありません。従って、早産しないように過労や過激な運動を避けるなど、妊婦とその周囲の人々が十分に気を付けていくことが唯一確実な予防法であるといえます。 - Q近視矯正手術とは・・・?
- A
欧米では数百万人が受けていると言われる視力矯正手術も、日本においては、現実に手術を取り入れている眼科医はごく少数で、まだ市民権を得られているとは言えません。日本眼科学会では、今のところメガネやコンタクトレンズで満足している人は、まだこの手術を受けるべきではないと勧告しています。まだ新しい技術で、長期の経過観察が行われていないため、安全性や矯正効果についても今後どのような問題が起きてくるかわからない状況だからです。ただし、そのような背景がありながらも、現実には手術の方法の研究・改善が続けられており、今後、視力矯正手術の件数が増加することも考えられます。
また、参考までに、現状日本では近視は病気として扱われていないため、視力矯正手術には健康保険が適用されません。したがって手術料は片眼で約20~40万円ほど(ちなみに手術時間は10分位)かかるようです。
それでは、視力矯正手術の代表的なものとして、RK、PRK、LASIKの3つがありますので、それぞれその手法について簡単に紹介しておきましょう。- 1. RK(70年代後半にモスクワ眼科顕微手術研究所のフョードロフ博士が開発し、80年代頃から日本に導入された視力矯正手術の先駆的存在)
鋭利なダイヤモンドメスで、角膜の中心部を除いた部分に4~16本の放射状の溝をつけます。これによって、角膜の周囲が眼圧で盛り上がり、逆に中心部は周囲から引っ張られ平坦になるため、角膜の凸レンズ効果が弱まり近視が矯正されます。
- 2. PRK(80年代後半に米国で開発され、現在日本では臨床試験が行われている)
米国で開発されたエキシマレーザーという紫外線レーザーを角膜中心部に照射し、その部位の組織を削り取ります。中心部を深く、外側にいくにしたがって浅く削れば、角膜の凸レンズ効果が弱まり近視が矯正されます。逆に削れば、角膜の凸レンズ効果が弱まり遠視が矯正されます。
- 3.LASIK(90年代に考案された最新の手法 PRKの改良型)
角膜の表面(上皮とボーマン膜の2層)を円形に薄く剥がして、完全に切り離さず一部をつなげて(カップラーメンのフタをめくって、一部分だけカップ本体にくっつけておく感じ)おきます。そして、内部の角膜実質層だけにエキシマレーザーを照射して削り取り、屈折異常を矯正します。レーザー照射後に、剥がしておいた角膜の表面を元通りに戻して手術は完了します。
以上、簡単に紹介しましたが、いずれの手法を用いても安全性や矯正効果の面でまだ完全とは言えません。切開を入れたために角膜の強度が低下したり、レーザーで削った部分から感染症を起こしたり、上皮の切除面がきれいに戻らなかったりなど様々な問題が残されています。したがって、”メガネが似合わないから”といったような、安易な気持ちで手術を受けることは避けた方が良いでしょう。
- 1. RK(70年代後半にモスクワ眼科顕微手術研究所のフョードロフ博士が開発し、80年代頃から日本に導入された視力矯正手術の先駆的存在)
- Qドライアイとは?
- A
涙が減少すると、目の表面の細胞が何らかの影響を受け、疲れや痛みを感じることがあります。このような、症状をドライアイといいます。
ドライアイは、眼だけでなく口の中などの乾きや関節症を伴う疾患であるシェーグレン症候群や、自律神経のバランスが崩れて涙が減少してしまうものもありますが、車の運転やパソコン作業のように、集中力を要する作業を長時間続けた場合の”まばたき不足”によるものが多いようです。
人が1分間にするまばたきの回数は、平常時で約25回ですが、車の運転中は約10回、ワープロ作業中で約7回、テレビゲームに熱中すると5回以下に減少してしまうというデータもあります。まばたきの回数が減少すれば、それだけ眼の表面は乾きやすくなり、症状はひどくなります。
ドライアイには、まだ完全な治療法がありません。予防法としては、涙に近い成分の目薬をこまめにさして眼を潤すことです。できれば防腐剤の入っていない1回使い切りタイプが適しています。ドライアイの場合は、防腐剤が眼に入ってもそれを洗い流すだけの涙液が足りないため、防腐剤がいつまでも残留してしまう状態になりがちです。防腐剤は細菌の増殖を抑える一方、眼にいつまでも残っていると角膜上皮に障害を与えることがあるので好ましくありません。乾燥と風を防ぐことも大切です。加湿器で部屋内の湿度を高めたり、エアコンの風が眼に直接当たらないように気をつけると症状は軽くなります。水を含ませたスポンジをメガネのつるに取り付けられる覆いなども眼のまわりの湿度を上げるので眼は乾きにくくなります。
また、遠赤外線の発光ダイオードを使用した器具によって、まぶたを温める(・・・5分間で3度上昇させる)という方法もあります。涙の最外層は油層で覆われていて涙が蒸発しにくくなっていますが、この油成分はまぶたの裏にあるマイボーム腺で作られます。マイボーム腺は、しばしば油成分が固まることによってつまってしまいますが、皮膚下5ミリまで達すると言われる遠赤外線で温めることで油成分が溶けて、働きが良くなるというわけです。従来は、温めたタオルを眼に当てていましたが、すぐに冷めてしまうのであまり効果がなかったようです。
現在では、涙点(涙が出ていく出口の穴)をプラスチック等でできたプラグでふさいだり、または、焼去したり縫合して完全にふさいでしまう手術により、眼にたまる涙の量を増やすといった治療も行われておりますが、まだ完璧なものではないようです。また、症状が強い場合、服用すると涙が出るような薬も開発されています。
- Q「ペットを飼っていると目が病気になることがある」と聞いたのですが、本当ですか?
- A
例えば・・・猫に寄生するトキソプラズマ原虫が糞から人間に感染することがあり、これを「トキソプラズマ症」といいます。
母親が妊娠前期に感染すると、流・早産を起こします。また、妊娠後期に感染すると胎盤を通して胎児に感染し、新生児の網膜と脈絡膜に瘢痕(傷跡)ができ、瘢痕の場所によっては視力が低下します。このような先天性のトキソプラズマ症は、瘢痕があるだけなので治療の必要はありませんが、低下した視力を回復することはできません。
因みに、大人になってから感染した後天性の場合は、頭痛・発熱・発疹などをおこしますが、それ程大きな害はありません。
従って、妊娠中は猫の糞からのトキソプラズマ原虫の感染に注意しなければならないのです。 - QVDT症候群って、どのようなものでしょうか?
- A
VDT(:Visual Display Terminal)とは、パソコン・ワープロ・テレビゲームといったコンピュータを使用するための表示装置のことです。
表記のVDT症候群とは、VDTを使った長時間の作業により、目・体や心に影響のでる病気のことで、テクノストレス眼症とも呼ばれています。
目の症状としては、疲れ・痛みや視力低下などが起きます。
体の症状としては、肩・首・腕のだるさや痛みなどが起き、慢性的になると背中の痛み・手指のしびれなどがおきたりします。
心の症状としては、イライラや不安感が生じたり、抑鬱状態になったりします。
VDT作業をする時には、1時間毎に10~15分の休憩をとり、遠くの景色をながめたり適度に体を動かしたりして、目と体の緊張をほぐすことが大切です。
また、メガネやコンタクトの度がVDT作業に適しているかどうかのチェックも大切です。
異状を感じたら、症状が悪化する前に早めに眼科医に診てもらいましょう。 - Q眼に異物が入った時は、どうすれば良いですか?
- A
眼にゴミが入った時は、こすらないことが大切です。
こすると、ゴミの角で余分な傷を作るので、ゴミが取れた後もゴロゴロした感じが取れません。静かに瞬きをすると、自然に溢れてくる涙といっしょに流れ出てしまいます。洗面器に水を溜め、そこに眼をつけて瞬きするのも良いでしょう。いつまでも、コロゴロとした感じが取れない時は、ゴミが角膜に刺さっていることもあるので、すぐに眼科へ行き処置をしてもらいましょう。ハンマーでコンクリートを強打した時にハンマーの鉄粉が飛んできたり、草刈機の刃が小石などに当たり、刃の一部が欠けて飛んでくる例が多いようです。細かい鉄粉などが飛び散る可能性のある作業をする時は、眼を保護するためのメガネを掛けると良いでしょう。また、鉄粉が眼内に入った場合には、角膜にサビが生じますのですぐに眼科へ行き処置をしてもらうことが重要です。
酸やアルカリのような薬品が眼に入った時は、まず大量の水道水で5分位よく洗い流してから、速やかに眼科へ行き処置をしてもらうことが必要です。酸の場合はその影響は角膜の表面にとどまることが多く、アルカリの場合は角膜実質まで達することが多いのですが、最初に、すぐに水でよく洗ったかどうかで、その後の眼の回復状況が左右される場合が多いようです。
また、てんぶらの油の飛沫が眼に入ってしまった時は、角膜の上皮が障害されて相当の異物感を生じますが、これは火傷の程度としては軽い場合が多く、あまり心配する必要はありません。すぐに眼科へ行って処置してもらい二次感染を防ぐことができれば、4~5日ほどで快方に向かうことが多いようです。
- Q家庭でもできる幼児の眼の健康チェックについて教えて下さい。
- A
眼には、物の形や大きさ、動きを認識する視力、眼を動かさずに見ることのできる範囲の視野、色を感じる色覚、光の強弱を感じる光覚、両眼で立体的に物を見る両眼視といった機能があります。これらの機能は“物を見ること”で育っていき、ほぼ生後6年(特に最初の3年は重要)で完成します。つまり、この間に、眼に病気等があり、その発見、治療が遅れると、弱視(例えば、メガネやコンタクトレンズで矯正しても最高で0.2しか視力のでない眼)として完成してしまい、その後、正常な機能を取り戻すことはできません。
幼児は、自分の眼の異常を自覚して“見えにくい”などと正しく伝えることはできないので、両親や周囲の大人が注意深く観察して、なるべく早く異常を発見しなければなりません。以下に簡単な眼のチェック項目と疑われる主な病名等を紹介します。
- 目やにがたくさん出る・・・結膜炎、さかさまつげ
- 涙や目やにが常に出ている・・・鼻涙管閉塞
- 白目が充血している・・・結膜炎、角膜炎、さかさまつげ、ゴミや異物
- かゆくて眼をよくこする・・・さかさまつげ、結膜炎
目やに、充血、かゆみは結膜炎の典型的な症状です。はやり目の場合は、1人感染すると家族中かかることがよくあるので、タオルやハンカチ、洗面器は別にしましょう。また、お風呂で感染することも多いので、かかっている人は最後に入浴しましょう。手は石鹸を使って水道水でこまめに洗いましょう。
- まぶたが腫れている・・・ものもらい、虫さされ、アレルギー性結膜炎
- まぶたが下がっている・・・眼瞼下垂
- 眼を細めたり、横目で見たり、上目づかいで見る・・・屈折異常
3歳児検診では、0.5以上の視力があるかどうかをチェックします。家庭で簡単にチェックする場合は、2m位離れたところから直径1cm弱位の子供が興味を持っている絵を片目づつ見せて、何の絵かわかればだいたい0.5位の視力があると判断できます。
- 片方の目が内側や外側を向いている、顔や首を傾けて見る・・・斜視
斜視かどうかは、子供の顔の前でペンライトを点灯し、子供の黒目に映る角膜反射の位置を観察すると判断できます。両目とも、黒目の中央に映っていれば斜視ではありません。斜視の場合は、左右どちらかの目は、黒目の中央からずれたところに映っています。
- 目で物を追わない、物に近づいて見る・・・屈折異常や他の眼疾患による視力低下
- 光を嫌がり、非常にまぶしがる・・・先天性緑内障、さかさまつげ、先天性色覚異常
- 黒目が大きくなった・・・先天性緑内障
- 瞳が白く光って見える・・・先天性白内障、網膜芽細胞腫、未熟児網膜症
気になる項目があるようでしたら、すぐに眼科の診察を受けるようにしましょう。
- Q眼に良い食べ物にはどのようなものがありますか?
- A
眼に限らず体のためには、栄養バランスが良くとれた食事をすることが大切になりますが、中でもビタミンは、眼の機能を正しく保つのに不可欠な物質です。それでは、各種ビタミンの眼に対する影響と、どのような食物に多く含まれているかについて簡単に紹介しましょう。
- ビタミンA・・・眼の疲労回復に役立ち、夜盲症や眼球乾燥症を防ぎます。ビタミンAを多く含む食物には、レバー、ニンジン、マーガリン、ニラ、ホウレンソウ、干しのり、干しヤツメウナギなどがあります。
- ビタミンC・・・水晶体の中の蛋白質を濁らせない働きがあります。つまり、白内障の予防効果があります。ビタミンCを多く含む食物には、パセリ、ブロッコリー、カリフラワー、ピーマン、イチゴ、キャベツ、さつまいも、ジャガイモ、柿、柑橘類などの果物などがあります。
- ビタミンB・・・ビタミンBにはB1、B2、B6など、いくつか種類がありますが、そのうち眼に影響が大きいのはB2とB1です。B2は眼の神経組織の働きを活発にさせ、白内障を予防する働きもあります。B2を多く含む食物には、強化米、のり、レバー、わかめ、納豆、モロヘイヤなどがあります。B1が不足すると脚気になり、視神経に異常を来すこともあります。B1を多く含む食物には、強化米、小麦胚芽、豚肉、のりなどがあります。
- ビタミンE・・・白内障の予防に効果があります。また、毛細血管を広げて筋肉の緊張を解きほぐす作用もあるので、眼の調節が正常に働くのを助けます。ビタミンEを多く含む食物には、小麦胚芽、植物油、うなぎ、カツオ、マグロ、ごま、アーモンドなどがあります。
ビタミン以外で眼に良いと今大変注目されている成分には、青い魚に多く含まれているDHA(ドコサヘキサエン酸)と、ブルーベリー等に含まれているアントシアニンがあります。
DHAは、血中脂肪降下作用、コレステロール抑制作用、脳の神経細胞をはじめ視神経細胞を活性化させる作用があると言われています。DHA成分を配合した食品としては、魚の缶詰やロールパンなどが発売されています。
アントシアニンは、心臓病や脳卒中の予防、老化や癌の原因とみられる活性酸素の消去作用、強度近視による網膜の変質予防、視力改善効果があると言われています。ブルーベリー食品は、ガム、ジュース、ジャム、ヨーグルト、レアチーズケーキなどが発売されています。 - Q映画館に入ってすぐは暗くて周りが良く見えないのに、段々見えてくるのはなぜ?
- A
明るい所から急に暗い所に入るとすぐには何も見えません。が、しばらくすると目は暗さに慣れて辺りが見えてきます。この現象を暗順応といいます。
逆に、暗さに慣れた目で急に明るい所に出ると一時的に眩しさを覚えますが、間もなく明るさに慣れて、不便を感じることはありません。この現象を明順応といいます。
暗順応・明順応は、光の刺激の強さの変化に対して、刻々と感受性を高めたり低めたりして新しい刺激環境に慣れていくという、網膜の視細胞の能力によるものなのです。
表題の「映画館での見え方の変化」も、こんな目の働きに起因しているのですね。
但し、明暗の変化が急激に起こると順応時間が追いつかず、不快感を覚えたり危険であったりします。
例えば走行する自動車の陽が当たる道からトンネルに入るような場合、トンネル内が100ルクス程度に照明されていても。外の数万ルクスの照度に比べると余りにも差が大きく、目は一時的に失明状態になり非常に危険です。
このような危険を避けるため、トンネルによっては出入口部の照明を増灯し、明るさの変化に対して、目が順応しやすくなるよう考慮されています。
また、一般の施設でも、映画館では場内の照明はパッと消さずに徐々に暗くしたり、百貨店では1階を他のフロアより明るくして、お客様の目に不快感を与えないよう考慮されているのです。 - Q「見え方の違い」に着目した、車の色選びを教えて下さい。
- A
車を運転していて、思ったよりも車間が短くて「おやっ?!」とか「あれっ?」と思った経験がある方は少なくないはずです。
車の色によって事故に遭いやすい、遭いにくいということがあるのでしょうか?赤やオレンジといった暖色系の色は膨張色なので、実際より物が大きく見えます。
また、進出色でもあるため、対象物は実際より近くにあるように見えます。
これらから「暖色系色の車」との車間距離は実際より長くなる傾向にあります。反対に、グレーや紺といった寒色系の色は収縮色なので、実際より物が小さく見えます。また、後退色でもあるため、対象物は実際より遠くにあるように見えます。
ということから「寒色系色の車」との車間距離は実際より短くなる傾向にあります。
いかがですか?
「ああなるほど・・・」と思われた方も多いのではないでしょうか。
車の事故原因は様々ですが、単純に車の色だけに注目するのであれば、暖色系の色の車の方が車間距離が長くなるという傾向から、事故に遭いにくいといえるでしょう。
また、色の特性を知った上で、車に係わるということも大切なのかも知れませんね。 - Qフラッシュ撮影の時に、目が赤く写るのはなぜですか?
- A
一般的に「赤目」といわれるこの現象は、夜間や室内などフラッシュを使って写真をとった際によく見られます。
これはフラッシュの光が網膜上に結像し反射することで、目の奥が光源のようになって赤く照り返し、目が赤く映るものです。では、なぜ「赤」目なのでしょうか?
それは目の奥の反射面すなわち、網膜の毛細血管が「赤」色だからです。
網膜には毛細血管がたくさんあり、この目の毛細血管は全身の中で直接観察できる唯一の血管であります。(余談になりますが、眼底検査という単語をお聞きになったことはありませんか?この眼底検査では、眼の瞳孔からこの網膜の毛細血管の状態を観察し、高血圧や動脈硬化などによる全身の血管変化を類推しているのです。)それでは、話しを「赤目」に戻しましょう。
赤目は、コンパクトカメラのようにレンズ光軸とフラッシュの発光部が近接している程起こりやすくなります。
赤目を完全に防ぐには、レンズ光軸とフラッシュ発光部を離し、両者の目に向かう角度差を大きくするしかありません。但し、フラッシュ本発光直前に少しまぶしい程度に先行発光(プリ発光)させる機能がカメラについていると、その使用により本発行直前に瞳孔が小さくなるので、赤目をかなり防ぐことができます。
赤目は目の性質にもよるようですが、個人差があり、起きやすい人と起きにくい人があるようです。
ちなみに犬やネコの場合は、網膜の後ろに更に光を反射する膜があるため、「緑目」や「青目」になることが多いようです。 - Q水中で目を開けてもぼやけて見えるのに、ゴーグルだとはっきり見えるのはなぜ?
- A
眼球表面の角膜には、『目に入ってくる光を屈折させて網膜上に焦点を結ばせ良い視力を得る』という、レンズとしての役割があります。
ところが角膜は、プールの中で目を開けているといったような水と接した状態では、網膜上に焦点を結ばせるのに必要な屈折力が発揮出来ないため、目は強度の遠視状態になってしまい、モノをはっきりとみることはできません。
一方、ゴーグルを使用すると、角膜は水ではなく空気と接することになるので、普通にみることが出来るのです。では、こういった現象は、なぜ起こるのでしょうか?
これらは、空気と水とで、光の屈折率が異なるために起こるのです。
光は、屈折率の異なる物質(例えば空気から水)に入ると屈折(進行方向)が変化します。また、両物質の屈折率に差があるほど、屈折力も大きくなります。
モノを見るという観点からそれらに関わる物質の屈折率を見てみると、空気の屈折率は約1ですが、水の屈折率は約1.333、角膜の屈折率は約1.376と2つの屈折率はほとんど変わらないといえます。
従って、光が水から角膜へと入ってくる場合では、両者の屈折率がほぼ等しいため、角膜がレンズとしての役割を果たせるだけの屈折力が発揮できない為に、「目を開けてもモノがぼやけて見える」といったことが起こるのです。
また、日常でよくある- 1. コップの中に箸を立て水を入れてみると、水中の箸は手前に折れ曲がって見える
- 2. 風呂の中で自分の足を見ると短く見える
- 3. 浅そうに見えても、実際に飛び込んでみたら深かった等も、空気と水の屈折率が異なることによって生じる現象なのです。
- Q朝焼けや夕焼けはなぜ起こるの?
- A
もともと空自体には色はありません。空が色付いて見えるのは日光のためです。日光はプリズムで分解すると波長の長短によって虹の七色に分かれます。この日光は、太陽から地球まで真空の宇宙を飛んできて地球の大気圏に突入しますが、大気中の粒子(ほこりやちり・煙や灰・様々な気体の分子等)にぶつかり散乱することになります。この散乱した光の波長が長いか短いかによって、空は赤や橙色に見えたり青く見えたりします。
太陽が真上にある昼間は、日光は垂直に入射してくるので、大気中を通過する距離は短くなります。この場合、波長が長い赤や橙色の光は大気中の粒子にぶつかりにくくあまり散乱しませんが、波長が短い青色の光は大気中の粒子にぶつかりやすく散乱してしまいます。その散乱によって、昼間の空は青く見えます。
朝夕は、日光は水平気味に入射してくるので、大気中を通過する距離は昼間よりずっと長くなります。そのため、今度は途中で散乱せずに通過してきた波長の長い赤や橙色の光の方が散乱することになり、空は赤や橙色に見えます。
つまり、朝焼けや夕焼けは、朝夕の方が昼間よりも日光が大気中を通過してくる距離が長いことによって起こるのです。 - Q闘牛は赤い布に猛然と突っ込んでいきますが、牛は色がわかるのでしょうか?
- A
闘牛は赤い布に猛然と突っ込んでいきますが、牛は色がわかっているのでしょうか?
闘牛というものを見ていると、いかにもあの「布の真っ赤な色」が牛を興奮させているように見えますが、実は牛には世の中が全てモノクロ(白黒)画面としてしか見えていないのです。
つまり、赤い色を見て興奮している訳ではないのです。
それでは、闘牛はなぜ、あれほど激しく布につっこんでいくのでしょうか?
それは闘牛士がたくみに扱う布の動き、つまり「揺らしたり」「止めたり」「ひるがえしたり」といった、あの「不気味な動き」を見て興奮し、闘争心をかき立てられているのです。
闘牛場で、血の赤い色を見てますます興奮してしまうのは、色が見分けられる人間の方なのですね。 - Q動物は種類によって視野の広さが違うのですか?
- A
ヒトの眼は顔の前面に並んでいて、物を注視する時の両眼の視線はほぼ平行になっています。
これに対して、例えばウサギの眼は顔の側面に付いていて右眼と左眼の視線の方向は、ほぼ正反対になっています。このように、動物によって両眼の視線の方向は異なっています。ウサギ、リス、ウマなどのように両眼の視線がそれぞれ左右で広がっている動物の利点は、視野が広く、ほぼ360度の視界を持っているということです。ただし、両眼視している視野(両眼の視野の重複部分)は狭いので、距離感や立体感は劣ります。これに対して、ヒトのように両眼の視線がほぼ平行である場合には、視野の広さが約200度と狭いものの距離感や立体感は優れており、遠方の一点に注意を集中することができるという利点を持っています。
色々な動物の生態を分析してみると、ライオン、クマ、イヌなどの肉食動物では両眼の視線がほぼ平行で視界が狭いのに対し、リス、シカ、ウマなどの草食動物は、両眼の視線が平行状態よりも広がっていて視界が広いのが特長です。つまり、肉食動物は他の動物を見つけて捕まえるということが重要なので、生態的に距離感や立体感の優れた構造になっています。
逆に、草食動物の場合には肉食動物から逃げなければならず、どこから敵が来てもすぐにわかるように視野が広くなっているのです。このように、動物達の視界の広さは、それぞれの生態系に適応した形に設定されているのです。
子供達に人気のあるパンダは、今でこそササの葉ばかりを主食としていますが、数千年前迄は、中国大陸においてあたかも百獣の王のごとくふるまっていた肉食動物だったと言われています。それがいつの頃からか、トラに駆逐され、次第に高山へと追いやられ、十分な獲物が得られなくなったために、やむなくササの葉を食べるようになったものと見られています。パンダが本来は肉食動物であったという根拠は、その眼が立体感や距離感の優れた肉食動物の眼をしているためです。



